GA4のscrollイベントとは?読了率と“薄いPV”を見分ける基本(拡張計測シリーズ第2回)
「PVは増えているのに、問い合わせも予約も増えない」
この悩みは、Web担当者やブロガーが必ず一度はぶつかります。
原因はシンプルで、PV(ページビュー)は“開いただけ”でも増えるからです。
検索結果でタイトルだけ見て戻る人、ファーストビューだけ見て離脱する人も、PVとしてはカウントされます。
そこで役に立つのが、GA4の拡張計測(Enhanced Measurement)で取れる scroll(スクロール)イベントです。
この記事では、scrollの意味・発火条件・GA4での見方・整体院LPとブログでの活用例まで、実務で使える形に落とし込みます。
0 想定読者と前提
- GA4を使い始めたWeb担当者・個人ブロガー
- PVやユーザー数は見ているが「読まれているか」まで自信がない
- 拡張計測をONにした(またはこれからONにする)
1 GA4のscrollイベントとは?まず結論

1-1 scrollイベント=「ページが90%まで読まれた“合図”」
GA4のscrollイベントは、ざっくり言うと
「そのページで、ユーザーが90%地点までスクロールしたときに発生するイベント」です。
つまり、scrollは「ちょっとスクロールした」ではなく、かなり下まで到達したことを示すサインです。
1-2 scrollが分かると何が嬉しい?(PVの弱点を補完)
PVだけだと、次の2つが区別できません。
- 本当に読まれたPV(内容に触れて、理解して、次に進んだ)
- 薄いPV(開いたが、ほぼ読まずに戻った)
scrollを見れば、「少なくとも90%地点まで到達した人がどれくらいいるか」が分かります。
結果として、“数字はあるのに成果が出ないページ”の原因特定が速くなります。
2 scrollイベントの発火条件(拡張計測の仕様)

2-1 発火はデフォルトで「90%到達」が基本
拡張計測のscrollは、基本的に90%スクロール到達をトリガーに発火します。
そのため、scrollが発生しているページは「最後の方まで到達した人が一定数いる」と見立てられます。
2-2 いつ発火しない?よくある誤解
scrollが少ない(またはゼロ)とき、「記事が読まれていない」と決めつける前に、まず次を確認してください。
- ページが短い(スクロールがほとんど不要)
- 途中で離脱している(90%まで到達しない)
- 拡張計測がOFF(そもそも計測していない)
- 計測設定の問題(タグ未設置、別プロパティを見ている等)
2-3 scrollは「読了率」そのものではない(重要)
ここが一番大事です。
90%まで到達=全部読んだではありません。
読み飛ばしや、画面だけ下に送る動きでも90%到達は起こり得ます。
ただし、それでもPVよりははるかに強い判断材料になります。
3 まず確認|拡張計測(scroll)がONになっているか
scrollを見る前に、計測がONかどうかを確認します。

3-1 どこでON/OFFする?(データストリーム)
GA4での基本動線は以下です。
- 管理 → データストリーム → 対象のWebストリーム
- 拡張計測機能(Enhanced Measurement) を開く
- スクロール(scroll) がONになっているか確認
3-2 ONにしたあと、反映までの基本動線
ONにしたら、まずは「本当に飛んでいるか」を確認します。
- GA4の リアルタイム でイベントを観察する
- 可能なら DebugView で検証する(GTMプレビューなどと相性が良い)
ここでscrollが確認できていれば、記事の分析に進めます。
4 GA4でscrollイベントをどう見るか(レポート手順)

scrollは「イベント」なので、GA4ではイベントとして確認します。
ポイントは、“全体”と“ページ別”の両方で見ることです。
4-1 見る場所1:イベント(全体トレンド)
- レポート
- エンゲージメント
- イベント
- イベント名から scroll を探す
ここではまず、「scrollが増えている/減っている」のような全体傾向を把握します。
4-2 見る場所2:ページ別に見る(ここが本題)
実務で効くのは、ここです。
scrollは「どのページが読まれているか」を分ける材料なので、ページ別に比較します。
考え方はシンプルで、次の2つをページごとに並べます。
- そのページの PV(page_view)
- そのページの scroll(scrollイベント)
そして、scroll ÷ PV(scroll比率)で“薄さ”を見ます。
4-3 指標の選び方(迷うポイントを解消)
- イベント数(scroll):ページが90%まで到達された回数
- ユーザー数:90%まで到達した人の数
- PV:開かれた回数
基本は次の考え方でOKです。
- まずは PV と scroll(イベント数)で比較
- 可能なら ユーザー数でも確認して「少数の人が何度も…」を避ける
5 読了率と“薄いPV”を見分ける基本ロジック

5-1 薄いPVの典型パターン3つ
「PVは多いのにscrollが少ないページ」には、だいたい次の原因があります。
- 検索意図ズレ
タイトルで期待した内容と、本文が違う。
→ 開いてすぐ戻る。 - ファーストビューが弱い
結論が遅い/何が得られるか分からない。
→ 冒頭で離脱。 - 読みにくい
文章が長い、見出しが弱い、余白が少ない、表示が遅い。
→ 読みたいのに疲れて離脱。
5-2「PVは多いのに読まれていない」をどう見抜くか
おすすめの型はこれです。
- PV上位10ページを出す
- 各ページの scrollイベント数 を並べる
- scroll比率(scroll ÷ PV)で低い順に並べる
- 下位3ページを“薄いPV疑い”として、改善対象にする
これで、改善の優先順位が一気に決まります。
5-3 scrollが高いのに成果が出ないケースもある
逆に「scrollは高いのに、問い合わせが増えない」もあります。
この場合、読まれてはいるが、
- CTA(予約・問い合わせ導線)が弱い
- 次の行動が分かりにくい
- 申込みのハードルが高い
という、“導線・オファー側の問題”が疑われます。
scrollは万能ではなく、入口の品質と中身接触の指標と割り切ると判断がブレません。
6 さくら整体院での活用例(LP)
整体院のLP(例:施術メニュー、初回案内、料金、予約導線)は、scrollが効きやすい典型です。
6- 1 LPは「スクロールされない」と致命的
LPの重要情報は下に置かれがちです。
- 料金
- 施術の流れ
- お客様の声
- よくある質問
- 予約ボタン(再掲)
もしscroll比率が低いなら、下まで到達していない=予約情報まで見られていない可能性があります。
6-2 改善の打ち手(scrollが低い場合)
さくら整体院のLPでやるなら、優先度が高いのは次の順です。
- ファーストビューで結論を言う
「誰の何をどう改善する整体院か」を1行で分かるようにする - 重要情報を上に寄せる
料金の目安/初回の流れ/予約CTAを早い段階に出す - ジャンプリンク(目次)を付ける
「料金へ」「予約へ」など、迷わせない - 縦に長すぎる場合は圧縮する
FAQや症状別を整理して“読む量”を減らす
6-3 改善後の検証方法(scrollでPDCA)
改善前後で、最低限ここを比較します。
- PV(変化したか)
- scroll比率(上がったか)
- 予約ボタンのクリック(別イベントで取れると理想)
scrollが上がったのに予約が増えないなら、次は導線とオファーを疑う、という順序が明確になります。
7 ブログでの活用例(長文記事)

長文記事は、scrollで「読まれている記事/読まれていない記事」が分かれやすいです。
7-1 長文記事は「読まれる設計」が命
長文は、読者の意志が弱いと途中で離脱します。
scrollが低い記事は、だいたい以下が弱いです。
- 導入が長い
- 結論が遅い
- 見出しが抽象的
- 図解や箇条書きが少ない
7-2 改善の打ち手(記事のscrollが低い場合)
すぐ効く改善は、次の3つです。
- 冒頭に結論
「この記事で分かること」を先に書く - 見出しを“検索者の疑問”に寄せる
例:
×「scrollとは」
○「scrollイベントで何が分かる?」
○「PVが多いのに読まれない原因は?」 - 途中に“まとめ”とCTAを挟む
最後まで行かなくても、途中で行動できる設計にする
7-3 記事タイプ別の“適正scroll”の考え方
scrollは、記事タイプで見方が変わります。
- 用語解説(短い):scrollは参考になりにくい
- 手順記事(中〜長):中盤以降まで到達が重要
- 比較レビュー(長い):結論・比較表付近に到達が重要
「全部のページを同じ基準で比較しない」だけで、判断ミスが減ります。
8 実務で使える“10分診断テンプレ”
最後に、今日から回せる診断の型を置きます。
8-1 10分診断:薄いPVを見つける手順
- PV上位ページを抽出
- 各ページのscroll(イベント数)を確認
- scroll比率(scroll ÷ PV)で低いページを特定
- 実際にそのページを開き、離脱理由の仮説を立てる
- 改善施策を1つ入れ、1〜2週間後に再比較
8-2 仮説の当て方テンプレ(例文)
- 検索意図ズレ:
「タイトルで約束した内容と、導入の中身がずれている可能性」 - ファーストビュー弱い:
「結論が遅く、読むメリットが最初に伝わっていない可能性」 - 読みにくい:
「文章の塊が多く、見出し・図解・余白が不足している可能性」
このテンプレで、改善提案の品質が一段上がります。
ChatGPT先生と学ぶ scrollノック(実務編・全3問)
第1問:scrollが高いのに成果が出ない。あなたの仮説は?
あなたは「さくら整体院」のLPを分析しています。数値は以下です。
- LPのPV:5,000
- scroll(90%到達):2,500(=scroll比率50%)
- 予約完了:10件(CVR 0.2%)
一見すると「半分が最後まで見ている」ので良さそうですが、成果(予約)が弱い状況です。
質問:
あなたが最初に疑うべき原因を、優先順位つきで3つ挙げてください。
また、それぞれの原因に対して「次に見るべきGA4の指標 or 追加で入れるべき計測」を1つずつ答えてください。
解答の型(例)
- 原因①:____ → 次に見る:____
- 原因②:____ → 次に見る:____
- 原因③:____ → 次に見る:____
狙い(先生の一言)
scrollが高い=読まれている可能性は高いが、導線・オファー・フォームの問題に視点を切り替えられるかが実務ポイントです。
模範解答(例)
- 原因①:予約ボタン(行動の入口)が弱い/分かりにくい
- よくある状態:最後まで読んだのに「次に何をすればいいか」が分からない、または押しにくい
- 次に見る(または追加計測する)もの:予約ボタンのクリック数
- GA4で「予約ボタン押下(click)」イベントを取る
- 予約ボタンを押されていないなら、文章ではなく導線が弱い可能性が高い
- 原因②:内容は読まれているが、“刺さる材料”が足りない(不安が消えていない)
- よくある状態:料金が不透明、痛みが心配、効果の根拠が弱い、口コミが少ない
- 次に見る(または追加計測する)もの:重要セクションの到達・滞在の手がかり
- 例:料金・口コミ・施術の流れまで到達しているか(スクロール割合を細かく取る/アンカークリック)
- 「見たのに予約しない」なら、情報の中身が足りないか、安心材料が弱い
- 原因③:フォーム(予約完了までの手続き)が面倒/途中で離脱している
- よくある状態:入力項目が多い、スマホで入力しづらい、エラーが出る、確認画面が長い
- 次に見る(または追加計測する)もの:フォームの途中離脱(ステップ)
- フォーム開始、送信ボタン押下、完了ページ表示(予約完了)をイベントで段階計測
- 予約ボタンは押されているのに完了が少ないなら、フォーム側の問題が濃厚
まとめ(噛み砕き)
scrollが高い=「下まで見た人は多い」
でも予約が少ないなら、次に疑うのは **文章の長さではなく「行動の道」**です。
- 押されない(クリックが少ない)→導線の見せ方
- 押されるが完了しない→フォームの問題
- 押されるが決断されない→安心材料・オファーの問題
第2問:「読了率が高い記事」を勘違いして改善判断を誤った。どこが間違い?
あなたはブログ記事Aの改善を任されました。データはこうです。
- 記事A:PV 10,000/scroll(90%) 6,000(60%)
- 平均エンゲージメント時間:15秒
- 直帰率っぽい挙動(次ページ遷移が少ない)
担当者がこう言いました。
「scrollが多いから、記事Aは読了率が高い。内容はOK。CTAだけ強化しよう」
質問:
この判断のどこが危険ですか?
“scrollが多い=読了率が高い”と断定できない理由を、実務の言葉で2つ説明してください。
さらに、追加で確認すべきことを2つ挙げてください。
狙い(先生の一言)
scrollは「90%まで到達」なので、読み飛ばし/一気スクロールが混ざります。
「時間」や「次行動」とセットで判断する癖をつける問題です。
模範解答(例)
危険な点:scrollが多い=“読んだ”と決めつけていること
理由は大きく2つです。
- 理由①:scrollは“読んだ”ではなく“90%地点に着いた”というだけ
- 途中を読まずに一気に下へスクロールしても、90%に行けばscrollは発生する
- つまりscrollは「到達」であって「理解・納得」の証拠ではない
- 理由②:平均エンゲージメント時間15秒は短すぎる
- 仮に90%まで丁寧に読むなら、15秒では物理的に厳しい
- なので「一気スクロール」「探し読み」「期待外れで下に飛んだ」可能性が高い
追加で確認すべきこと(例:2つ)
- 確認①:その記事の“次の行動”が起きているか
- 例:内部リンククリック、CTAクリック、関連記事への遷移
- 読んで納得したなら、何かしら動く(別ページへ行く、ボタンを押す)が出やすい
- 確認②:スクロールの“途中地点”が取れるなら、どこで落ちているか
- 90%だけだと「途中の離脱」が見えない
- 25/50/75%が取れると「半分までは読まれるが、後半は読まれない」などが分かる
まとめ(噛み砕き)
scrollが多いのに時間が短いなら、
それは「最後まで読んだ」ではなく「下まで行っただけ」の疑いが強いです。
scrollは単体で結論を出さず、時間やクリックとセットで判断するのが実務の基本です。
第3問:25%/50%/75%スクロールを取りたい。GTM設計として何を提案する?
あなたはクライアントからこう言われました。
「90%だけだと粗いです。LPで 25%、50%、75% までの到達率を取りたい。改善施策の前後で変化を見たい」
ただし制約があります。
- 工数は最小(できれば1〜2時間で初期実装)
- GA4にイベントとして送って、探索で見たい
- LPは縦長で、セクションごとに意味がある(料金・症例・予約など)
質問:
GTMでどのようなイベント設計を提案しますか?
最低限、以下を埋めてください。
- 作るイベント名(例:scroll_25 など)
- 送るパラメータ(例:percent, page_path など)
- 最低限のトリガー条件(例:スクロール深度 25% 到達)
- 実務での注意点(例:イベント増えすぎ、短いページ問題など)
解答の型(テンプレ)
- イベント名:____
- パラメータ:____
- トリガー:____
- 注意点:____
狙い(先生の一言)
現場では「測れる」だけでは不十分で、イベント設計(命名・粒度・見方)が提案の価値になります。
模範解答(例)
1) 作るイベント名
scroll_25scroll_50scroll_75
(必要ならscroll_90も揃えると見やすい)
※イベント名は「見た瞬間に意味が分かる」ことが最優先です。
2) 送るパラメータ(必要最低限)
percent_scrolled:25 / 50 / 75page_path:どのページか(LPが複数ある場合に必須)- (任意)
page_title:人間が見て分かるようにする - (任意)
content_group:LP/ブログなど分類したいとき
※噛み砕くと、「何%まで行ったか」「どのページか」だけでも現場では十分回せます。
3) 最低限のトリガー条件
- GTMの「スクロール深度」トリガーを使う
- 垂直スクロール:25%、50%、75%
- 全ページではなく「対象LPだけ」に絞る(工数とノイズ削減)
※噛み砕くと、「ページの長さに対して、どこまで下に行ったか」で発火させます。
4) 実務での注意点(提案に入れると信頼が上がる)
- 注意①:イベントが増えすぎると分析が面倒になる
- まずはLPだけ、または重要ページだけに限定する
- 注意②:短いページはスクロールがすぐ達成され、指標が“良く見えすぎる”
- スクロール比率はページの長さの影響を受ける
- 注意③:一度の訪問で何回も発火させない(重複カウント対策)
- 設定次第で同じ割合が複数回飛ぶことがあるため、基本は「到達したら1回」運用が分かりやすい
- 注意④:見る目的を先に決める
- 例:「料金セクション(50%付近)まで届いているか」
- 目的がないと、数字が増えるだけで改善に繋がらない
まとめ(噛み砕き)
90%だけだと「最後まで行ったか」しか分かりません。
25/50/75%を取ると、どこで読まれなくなるか(落ちる地点)が見えるようになり、
「上に重要情報を移す」「途中にCTAを置く」の根拠が作れます。
まとめ
- GA4のscrollイベントは、ページの90%到達を示すサイン
- PVだけでは見えない “薄いPV” を見抜ける
- 実務では ページ別 × scroll比率(scroll ÷ PV) が最強
- LPは「重要情報まで到達していない」を疑い、配置を直す
- ブログは「導入・見出し・読みやすさ」を直すとscrollが上がりやすい