はじめに:データ分析って、結局なにをすること?
「今月、売上が落ちました」「PVが減りました」
ここまでは誰でも言えます。けれど、それだけでは次の行動が決まりません。
データ分析が役に立つのは、数字を見て“反省”するためではなく、何が原因で、次に何を打つべきかを決めるためです。
この記事では、仮想のコンビニ売上データを使って、
- 分類(内訳を作る)
- 比較(差を作る)
- 意味の抽出(原因として言葉にする)
を一連で体感します。ここまでできて、はじめて「分析した」と言えます。
1 データ分析の定義:分類→比較→意味の抽出

データ分析を一言でいうと、次の3ステップです。
- 分類:同じもの同士をまとめる(内訳を作る)
- 比較:差を作る(先月 vs 今月、A店 vs B店)
- 意味の抽出:差の原因を“言葉”にして次のアクションへつなげる
大事なのは3つ目の「意味の抽出」です。
分類と比較だけだと、まだ“集計”の範囲で止まりがちです。
2 “分析”と“集計”の違い(最初に線引きする)

ここで、線引きをはっきりさせます。
- 集計:数字を出す(事実の提示)
例)今月の売上は90万円でした - 比較:差を見つける(変化の発見)
例)先月より10万円下がりました - 分析:差の原因を説明し、次の行動に繋げる(意味の抽出)
例)売上低下の7割は「飲料」の落ち込み。棚縮小とキャンペーン終了が影響していそう。来月は棚復旧+販促再開を検討。
本記事の合格ラインはこれです。
「売上低下の主因カテゴリが言える」+「なぜそう言えるかを言語化できる」=分析
3 仮想データを用意しよう(今回の題材:コンビニ売上)

今回の前提はシンプルです。
- 期間:先月と今月
- 指標:売上(円)
- 切り口:カテゴリ(弁当、飲料…)
3-1 仮想データ(先月・今月の売上)
| カテゴリ | 先月売上 | 今月売上 |
|---|---|---|
| 弁当・惣菜 | 300,000 | 320,000 |
| 飲料 | 250,000 | 180,000 |
| お菓子 | 180,000 | 170,000 |
| 日用品 | 120,000 | 115,000 |
| コーヒー | 90,000 | 85,000 |
| その他 | 60,000 | 30,000 |
| 合計 | 1,000,000 | 900,000 |
まず言えるのは「合計が10万円減った」という事実です。
でも、これだけでは何も決まりません。ここからが本番です。
3-2 Step1:分類(カテゴリ別に“同じもの同士”を並べる)
分類の目的は、原因を“切り分け可能な形”にすることです。
今回の分類軸は「カテゴリ」ですが、現場では他にも分類軸があります。
- 時間帯(朝・昼・夜)
- 曜日(平日・休日)
- 客層(学生・会社員)
- 購入点数(まとめ買い・単品)
ただし最初の練習としては、カテゴリ分類が一番わかりやすく、差が出やすいのでおすすめです。
3-3 Step2:比較(先月 vs 今月で“差”を作る)

比較では、最低限この2つを出します。
- 差分:今月 − 先月
- 変化率:(今月 − 先月)÷ 先月
差分と変化率を追加
| カテゴリ | 先月 | 今月 | 差分(今-先) | 変化率 |
|---|---|---|---|---|
| 弁当・惣菜 | 300,000 | 320,000 | +20,000 | +6.67% |
| 飲料 | 250,000 | 180,000 | -70,000 | -28.00% |
| お菓子 | 180,000 | 170,000 | -10,000 | -5.56% |
| 日用品 | 120,000 | 115,000 | -5,000 | -4.17% |
| コーヒー | 90,000 | 85,000 | -5,000 | -5.56% |
| その他 | 60,000 | 30,000 | -30,000 | -50.00% |
| 合計 | 1,000,000 | 900,000 | -100,000 | -10.00% |
ここまで来ると、「飲料が大きく落ちている」「その他も落ち幅が大きい」が見えてきます。
でも、まだ“分析”ではありません。
ここでよくある罠
- 変化率が大きい(例:-50%)=重要、とは限りません
母数が小さいと、率は大きく見えがちです。
だから次は、「全体の減少にどれだけ効いているか」を出します。
3-4 Step3:意味の抽出(原因カテゴリを“意味”として言語化)

意味の抽出では、次の順で進めると迷いません。
- 全体の差分(今回は -100,000円)を確認
- 各カテゴリの差分が、全体差分の何%か(寄与度)を見る
寄与度(全体-10万円にどれだけ効いているか)
寄与度=(各カテゴリ差分)÷(全体差分)
全体差分は -100,000円 なので、次のようになります。
| カテゴリ | 差分 | 寄与度 |
|---|---|---|
| 弁当・惣菜 | +20,000 | -20%(減少を打ち消した) |
| 飲料 | -70,000 | 70% |
| お菓子 | -10,000 | 10% |
| 日用品 | -5,000 | 5% |
| コーヒー | -5,000 | 5% |
| その他 | -30,000 | 30% |
| 合計 | -100,000 | 100% |
ここで、ようやく“原因として言える形”になります。
- 主因:飲料(寄与度70%)
- 副因:その他(寄与度30%)
- 弁当は増えており、全体の減少を一部打ち消している
3-5 「意味」を文章にする(分析文テンプレ)
ここからが“分析”の肝です。
数字を、誰でも読める言葉に変換します。
分析文テンプレ(そのまま使ってOK)
全体は(増減)した。内訳を見ると(最も影響した要因)は(差分・寄与度)で、全体の変化の中心になっている。背景として(仮説)が考えられる。次は(確認すべき追加データ)を見て、(打ち手)を検討する。
3-6 今回の結論(例)
今月の売上は先月比で10万円減(-10%)。内訳では飲料が-7万円で、売上減少の70%を占めるため主因と考えられる。次にその他が-3万円(寄与度30%)で副因。弁当は+2万円で減少を一部打ち消している。背景として、飲料棚の縮小・キャンペーン終了・気温低下による需要減が仮説として考えられる。次は飲料の在庫/欠品/棚面積/販促有無を確認し、棚復旧や販促再開を検討する。
このレベルまで落とし込めたら、もう「分析した」と言ってよいです。
4 ここまで到達して初めて“分析”と呼べる(線引きの明文化)
最後に、レベル分けで整理します。
- レベル0:感想
「落ちた、やばい」 - レベル1:集計
「今月は90万円」 - レベル2:比較
「先月より-10万円」 - レベル3:意味の抽出(分析)
「飲料が-7万円で全体減の70%を占める。背景仮説は○○。次は○○を確認し、○○を打つ」
データ分析道場の合格ラインはレベル3です。
数字を“言葉にして”、次の行動まで繋げることが条件です。
5 Webマーケに置き換えるとどうなる?(GA4に接続)

コンビニ売上の話は、GA4でもほぼ同じ構造です。
分類(ディメンションの切り口)
- チャネル(Organic / Paid / SNS など)
- 参照元(Source/Medium)
- ランディングページ
- デバイス(PC/スマホ)
- 新規/リピーター
比較(差を作る)
- 先月 vs 今月
- 施策前 vs 施策後
- 平日 vs 休日
意味の抽出(原因として言語化)
たとえば「CVが落ちた」とき、
- 流入が減ったのか(セッション減)
- 流入はあるが成約しないのか(CVR低下)
- 特定LPだけ落ちているのか(LP別CVR)
を寄与度で切り分け、仮説と次の確認(ヒートマップ、フォーム離脱、検索意図ズレ)に繋げます。
まとめ:データ分析は「分類→比較→意味の抽出」
この記事の結論はこれです。
- データ分析=分類→比較→意味の抽出
- 「差がある」だけでは足りない
“主因が何か”を寄与度で示し、言葉にして次の一手へが分析
宿題(3分でOK)
あなたの仕事で扱う「ログ」を1つ選び、書き出してください。
- 扱うログ:例)GA4の流入、LP別CV、広告クリック など
- 分類軸を3つ:例)チャネル/LP/デバイス
- 比較軸を1つ:例)先月 vs 今月