GA4・アクセス解析 / 2026.01.12

GA4の拡張計測機能とは?自動収集イベントとの違いを整理する


GA4の拡張計測機能と自動収集イベントの違いを解説するアイキャッチ画像。設定不要な基本ログと、スイッチ一つでリッチな行動データを取得できる拡張計測機能の比較をイメージしたデザイン。

GA4を触り始めると、だいたい最初にこう思います。

  • PV(ページビュー)は見れている
  • でも「どこまで読まれた?」「どこをクリックされた?」が分からない
  • それを取るにはGTMで難しい設定が必要そうで不安

結論から言うと、その悩みの多くは GA4の「拡張計測(Enhanced measurement)」 で解決できます。
拡張計測は、難しい設定をしなくても、スクロール/クリック/検索/動画/DL といった行動を「イベント」として自動で取れる機能です。

この記事では、拡張計測の正体と、自動収集イベントとの違いを整理し、あなたのサイトで「何をONにすべきか」を迷わず判断できる状態を目指します。


1この記事でわかること

この記事で持ち帰ってほしい結論は3つです。

  1. 拡張計測は「追加で取れる行動ログ」をスイッチで増やす機能
  2. 自動収集イベントは“土台”、拡張計測は“観察ポイントの追加”
  3. まずはONで可視化 → 次に“意味のある指標”に整える(設計が大事)

「拡張計測をONにしたら何が増えるの?」「自動収集と何が違うの?」を、今日ここでスッキリさせましょう。


2 そもそもGA4は「イベントで世界を見ている」

自分に合った学習Seasonが見つかる診断チャート。売上・CV低下ならSeason1、CVR低下ならSeason2、集客低下ならSeason3、分析の進め方が曖昧ならSeason0、といった悩み別の最短ルート案内図

GA4の一番大事な考え方はこれです。

GA4では、ユーザーの行動はすべて「イベント」として記録される

ページを見た(PV)も、スクロールしたも、クリックしたも、動画を見たも、全部イベントです。

だからGA4を理解するコツは、「指標を覚える」より先に、どんなイベントが、どんなルールで記録されているかを掴むことです。

2-1 イベントには4種類ある(全体地図)

GA4のイベントは、ざっくり4種類に分かれます。

  • 自動収集イベント:最初から必ず取れる基本ログ
  • 拡張計測イベント:スイッチONで追加で取れる行動ログ(今回の主役)
  • 推奨イベント:Googleが「こういう命名で取ると良い」と勧めるイベント
  • カスタムイベント:あなたのビジネスに合わせて自由に作るイベント

今回扱うのは、2つ目の 拡張計測イベント です。


3 拡張計測機能とは何か(データストリームのトグル)

GA4管理画面の『データストリーム』詳細設定。拡張計測機能の項目で、スクロールや離脱クリックなどのトグルが一覧で表示されており、各計測のオン・オフを切り替える場所を示したスクリーンショット

拡張計測は一言で言うと、

GA4が“よくある行動”を、設定少なくイベント化してくれる機能

です。

3-1 どこで設定する?(最短導線)

設定場所はここです。

  • 管理(Admin)
     → データ ストリーム
     → Web(対象のストリーム)
     → 拡張計測機能(トグル)

ここでON/OFFできるのが、いわゆる「拡張計測」です。

3-2 トグルON=イベントが自動で発火する

拡張計測をONにすると、あなたがサイトを操作したときに、GA4が自動でイベントを送るようになります。

  • ある程度スクロールしたら「スクロールイベント」
  • 外部リンクをクリックしたら「クリックイベント」
  • ファイルをダウンロードしたら「DLイベント」
  • 検索したら「検索イベント」
  • 動画を見たら「動画イベント」

つまり、イベントが増える=見える世界が増える ということです。

3-3 拡張計測が面倒を見てくれる範囲(できること/できないこと)

拡張計測は便利ですが、万能ではありません。

できること

  • ありがちな行動(スクロール、外部クリック、検索、DL、動画)を自動記録する

できないこと

  • ビジネスの成果を定義する(例:申込完了、予約完了、購入完了など)

成果を追いたい場合は、推奨イベントやカスタムイベント(多くはGTM)も必要になります。
ただし、最初から全部やろうとすると挫折しやすいので、まずは拡張計測で「見える状態」を作るのが正攻法です。


4 自動収集イベントとの違い(必ず取れる vs 自分でON/OFF)

GA4の「自動収集イベント」と「拡張計測機能」の比較表。自動収集は設定不要でpage_viewなどの基本指標を取得し、拡張計測はデータストリーム設定からscrollやclickなどの行動ログを任意で取得できることを説明しています。

ここが一番大事です。
言い換えると、“土台”と“追加観察”の違いです。

4-1 自動収集イベントは“最低限の心拍数”(基本ログ)

自動収集イベントは、基本的に 必ず取れます
代表例は、あなたがこれまで学んできた4兄弟です。

  • first_visit:初回訪問(新規ユーザー)
  • session_start:セッション開始(訪問の単位)
  • page_view:ページ表示(PVの正体)
  • user_engagement:エンゲージメント(滞在・アクティブの手がかり)

これは、GA4の「最低限の呼吸」みたいなものです。
これがないと分析が始まりません。

4-2 拡張計測は“診察項目を増やす”(任意ログ)

拡張計測は、あなたが ONにすると取れる イベントです。

  • スクロールしたか
  • 外部リンクを押したか
  • 検索したか
  • 動画をどこまで見たか
  • ファイルをDLしたか

つまり、**自動収集だけだと分からない「行動の中身」**が見えてきます。

4-3 現場で多い誤解:「PVが取れてるからクリックも取れてる」

これは誤解です。

  • PV(page_view)は、ページが表示されたログ
  • クリックは、別の行動ログ

PVが見えていても、クリックやスクロールは見えません。
だから拡張計測が必要になります。

4-4 判断軸:まず“取れる状態”→次に“意味ある指標”へ

最初はこう考えると迷いません。

  1. まずは拡張計測をONにして、行動が取れる状態を作る
  2. 次に、重要なイベントだけをKPI候補として“意味づけ”する

「全部ON=全部見る」ではなく、
「全部取る=あとで必要なものを選べる」くらいの感覚がちょうどいいです。


5 拡張計測でできるようになること(全体像)

GA4の拡張計測機能で計測可能になる6つの行動ログの一覧。スクロール、外部クリック、サイト内検索、フォーム操作、動画(YouTube)、ファイルダウンロードの各項目をアイコン付きで紹介しています。

拡張計測で代表的に取れる行動は、次の6つです。

  • スクロール
  • 外部クリック(離脱クリック)
  • サイト内検索
  • フォーム関連の自動計測(環境により見え方が異なる)
  • 動画エンゲージメント(YouTube)
  • ファイルのダウンロード

ここでは「何が分かるか」を1行で整理しておきます。

スクロール:読了の近似ができる

「最後まで読まれている記事か?」を判断する手がかりになります。
PVだけだと、流し見なのか熟読なのか分かりません。

外部クリック:送客の把握ができる

外部サービス(予約、購入、別サイト)への遷移が多いサイトでは特に重要です。

サイト内検索:ユーザーの“探し物”が分かる

検索語はそのまま「足りないコンテンツ」や「ニーズ」です。
ブログのネタにも直結します。

動画:コンテンツ価値の把握ができる

「動画が見られているか」「何%まで再生されたか」が分かると、LP改善に効きます。

DL:資料価値の把握ができる

PDFや資料を配っている場合、DLは“成果に近い行動”になりやすいです。

どこで見られる?(迷わない導線)

まずはここで確認すればOKです。

  • レポート → エンゲージメント → イベント

慣れてきたら「探索(Explorations)」で深掘りします(シリーズ後半で扱うと理解が進みます)。


6 どんなサイトで特に効果が大きいか(ブログ/LP/予約サイトなど)

サイトタイプ別のGA4拡張計測おすすめ度マトリクス。ブログ・LPではスクロールや動画、予約サイトではフォーム操作、ECサイトではサイト内検索や外部クリック(アフィリエイト等)が重要であることを◎・○・△の3段階で示しています。

拡張計測が特に効くサイトタイプを整理します。

6-1 ブログ・メディア:読まれ方とニーズが見える

  • スクロールで「読了に近い行動」が見える
  • 外部リンクで「送客できている記事」が分かる
  • サイト内検索で「探されているテーマ」が分かる

ブログはPVだけだと改善が止まりやすいので、拡張計測の恩恵が大きいです。

6-2 LP:1ページ勝負の改善に刺さる

LPはページ数が少ないので、

  • どこまでスクロールされたか
  • CTAが押されたか(外部遷移やクリック)
  • 動画が見られているか

が、そのまま改善仮説になります。

6-3 予約サイト・店舗サイト:離脱の手がかりが増える

例えば整体院や美容室だと、

  • 外部予約サービスへ飛ぶクリック
  • メニュー詳細の閲覧
  • FAQの閲覧(スクロール)

などが、来院意欲の温度感を推測する材料になります。

6-4 EC:本命は推奨イベント、拡張計測は補助

ECは「購入」まで追うなら推奨イベント(ecommerce)が本命です。
ただし、拡張計測で

  • 送客
  • 検索
  • 動画

などを補助的に見ることはできます。
ただしイベントが増えすぎるとノイズになりやすいので、設計が重要です。


7 まず何をONにする?おすすめ初期設定(チェックリスト)

GA4拡張計測機能の初期設定チェックリスト。基本ONにすべき5項目(スクロール、外部クリック、サイト内検索、動画、ファイルダウンロード)と、GTMでの二重計測やイベント上限を考慮してOFFを検討すべき条件をまとめたチェックシート。

ここでは、実務で迷わないための「初期設定方針」を置いておきます。

7-1 基本セット(多くのブログ/小規模サイト向け)

  • スクロール:ON
  • 外部クリック:ON
  • サイト内検索:検索機能があるならON
  • DL:資料やPDFがあるならON
  • 動画:YouTube埋め込みがあるならON

まずはこれで「読まれ方/送客/ニーズ/価値ある行動」が見えるようになります。

7-2 場合によってはOFF検討(トラブル回避)

以下に当てはまるなら、一部はOFFや設計変更を検討します。

  • すでにGTMで高度なクリック計測をしていて 二重計測になる
  • イベントが増えすぎて 分析が破綻する
  • 外部クリックが多く、クリックが“成果”として誤解されやすい(レポートの読み間違いが起きる)

「取れること」と「使えること」は別なので、目的に合わせて整理するのがコツです。


8 落とし穴(拡張計測あるある5選)

GA4拡張計測の落とし穴5選。1.イベント上限によるノイズ、2.クリック計測を安易にコンバージョンと誤認するリスク、3.GTM設定との二重計測、4.クロスドメイン設定時の遷移計測、5.YouTube以外の動画が計測対象外である点、の5つの注意点を解説

拡張計測でよく起こる失敗を先に潰しておきます。

1)イベントが増えすぎて、何を見ればいいか分からなくなる

→ 対策:見るイベントをKPI候補に絞る(全部見ない)

2)クリックを“成果”と勘違いして意思決定がズレる

→ クリックは「行動」であって「成果(CV)」とは限りません。
成果にしたいなら、CV定義(重要イベント)を別途作る必要があります。

3)拡張計測×GTMで二重計測になる

→ 対策:どっちで取るか方針を決める(基本は片方に寄せる)

4)外部遷移が多いサイトは、ドメイン跨ぎの設計も必要

→ 予約や購入が別ドメインなら、クリック計測だけで満足しない(成果まで追う設計が必要)

5)動画計測には条件がある

→ 例えばYouTube埋め込みなど条件が絡むので、詳細は動画回で整理すると理解が確実です。


9 最短で動作確認する方法(5分で確認)

設定したら「取れているか」を確認しましょう。
これをやらないと、いつまでも不安が残ります。

9-1 確認フロー(おすすめ)

  1. 自分のサイトで実際に操作する
     - スクロールする
     - 外部リンクをクリックする
     - 検索する(検索機能があれば)
     - PDFなどをDLする
     - 動画を再生する
  2. GA4でイベントが見えるか確認
     - レポート → エンゲージメント → イベント
     - 可能なら DebugView(デバッグ)も見る

ここでイベントが見えたら、「設定は動いている」と判断できます。

9-2 確認できたら次にやること

  • 重要そうなイベントを3つだけ選ぶ(KPI候補)
  • “成果”に近いもの(DL、予約遷移クリックなど)を仮で重要視する
  • 次回以降で、イベント別に「どう読むか」を深掘りする

ChatGPT先生と学ぶ「拡張計測」ミニノック(理解チェック)

Q1:ブログで“読まれている記事”を見たい。まずONにするのは?

答え:スクロール(+可能なら動画や検索も)
PVだけでは「読んだか」が分からないため、スクロール計測が効きます。

Q2:GTMでクリック計測済み。拡張計測のクリックもONだと何が起きる?

答え:二重計測のリスクがある
同じクリックを2系統で送ってしまうと、イベントが増えて混乱しやすく、数字の信用が落ちます。

Q3:LPで予約ボタンが別ドメインに飛ぶ。拡張計測だけで十分?

答え:十分ではないことが多い
拡張計測で「クリック」は取れても、別ドメイン側の「予約完了」まで追えない場合があります。成果まで追うなら、ドメイン跨ぎの設計や、別側の計測整備が必要です。


まとめ(今日の結論)

  • 拡張計測=データストリームのトグルで増やせる行動ログ
  • 自動収集は土台、拡張計測は観察ポイントの追加
  • まずはONで可視化 → 次に“意味のある指標”に整える

次回予告:まずは「スクロール計測」から使いこなす

次回は、拡張計測の中でも特に使いどころが多い スクロール計測を深掘りします。

  • 「どこまで読まれたか」をどう解釈する?
  • PVが多いのに成果が出ない記事は、スクロールで見抜ける?
  • ブログ改善の“最初の一手”としてどう使う?

拡張計測は、ONにするだけで終わりではなく、“読める”ようになって初めて武器になります。次回で一気に実務に落とし込みましょう


← 前の記事 次の記事 →