自動収集イベントを押さえたら次は拡張計測へ|スクロール・クリック・動画視聴をどう計測するか
第0〜第7回(自動収集イベントシリーズ)を一通り読んだ方へ。ここまでで、GA4の基本となる「ユーザー数/セッション数/PV/エンゲージメント」を、イベント(ログ)としてつなげて理解できるようになってきたはずです。
この回(第8回)はシリーズの締めくくりとして、
- 自動収集イベントで「できること」
- でも実務では「足りなくなるところ」
- 次は“ページの中の行動”を取れるようにしよう(=拡張計測)
という流れで、次シリーズ(拡張計測シリーズ)へ橋渡しします。
1 自動収集イベントでできること・足りないこと
1-1 自動収集イベントで「ここまでは分かる」
自動収集イベントの4兄弟(first_visit / session_start / page_view / user_engagement)を押さえると、GA4の見え方が一気に整理されます。
- first_visit:初回訪問(はじめましてのユーザー)
- session_start:訪問(セッションの開始)
- page_view:ページ閲覧(PVの正体)
- user_engagement:滞在・エンゲージメントのログ(エンゲージメント時間の土台)
この4つが頭に入ると、例えば次のような“基本分析”は十分できます。
- 新規ユーザー数・ユーザー数・セッション数・PVの把握
- 平均エンゲージメント時間/エンゲージメント率の読み方
- ランディングページ(入口)別の成果比較(例:LP別CVRの比較)
ここまでで言えるのは、「誰が・いつ・何回・どのページを・どれくらい見たか」までは、かなり高い解像度で押さえられている、ということです。
1-2 でも“行動の細かさ”が足りない場面が出てくる
ここから先は「改善」の話になります。改善はほぼ必ず、ページの中の“行動”に踏み込みます。
たとえば、こんな場面です。
- LPで「どこまで読まれたか(スクロール)」が分からない
- 予約システムやInstagramなど「外部リンクがクリックされたか」が分からない
- 料金表や資料の「PDFダウンロードがされたか」が分からない
- 動画が「再生されたか/どこまで見られたか」が分からない
PVや滞在時間は重要ですが、それだけだと 「ページ内のどこが効いたか」や 「どこで止まったか」が見えません。
つまり、UIや導線の“改善ポイント”に直結しにくいのが弱点です。
1-3 「イベントの種類を増やす=見える世界を増やす」という考え方

GA4は極端に言えば、こういう道具です。
「どんなイベントを、どんな条件で送るか」で、分析できる世界が広がる
- 自動収集イベントだけ:ページ単位の粗い情報が中心
- 拡張計測/カスタムイベント:スクロール、クリック、検索、動画視聴など“ページの中の行動”が見える
この回は、自動収集イベントで作った土台の上に、次の階段(拡張計測)を置く回です。
2 拡張計測機能で追加されるイベントのイメージ
2-1 拡張計測機能とは?(GA4管理画面のトグル)
拡張計測は、ひと言でまとめるとこうです。
- GA4側でONにするだけで取れる“標準イベント群”
- 自動収集とは違い、ON/OFFを自分で選べる
- コードを書かずに追加できる範囲が広い(最初の一歩に最適)
管理画面の「データストリーム > Webストリームの詳細」に、拡張計測のトグルが並びます。
「計測設計」という言葉を難しく感じる人ほど、まずは拡張計測で“見える世界を増やす”のが近道です。

2-2 スクロール(scroll)で「どこまで読まれたか」を見る
scroll は「ページが一定割合までスクロールされた」ときに発火するイベントです(例:90%到達など)。
これで見えるようになることは、かなり実務的です。
- PVはあるのに、最後まで読まれていない記事
- ファーストビューで止まっているLP(途中で止まっている地点のヒント)
「読まれているか?」はPVだけでは分かりません。
スクロールが入ると、“読了”を数字で語れるようになります。
2-3 クリック(outbound_click)で「外部への送客」を見る
outbound_click は、別ドメインへ移動するリンクのクリックで発火するイベントです。
さくら整体院で典型的なのは、
- 外部予約システムへの遷移
- Instagram/LINE公式への遷移
です。これが取れると、
- 予約完了が外部で起きる場合の「予約の一歩手前」
- お問い合わせ以外の“成果”の可視化
ができます。改善に直結しやすいログです。
2-4 ファイルダウンロード(file_download)で「資料閲覧」を見る
file_download は、PDFなどのファイルがダウンロードされたときに発火します。
例:
- 料金表PDF
- 初回説明資料
これが取れると、
- “真剣に検討しているユーザー”がどの資料を見たか
- 資料導線(置き方/文言)の改善
につなげやすくなります。
2-5 サイト内検索・動画視聴など、他の代表的な拡張イベント
ここでは「種類」と「役立つ場面」だけ押さえて、詳細は次シリーズへ回します。
- site_search(サイト内検索)
何を探しているか=ニーズ・不安の可視化に使える - video_start / video_progress / video_complete(動画)
刺さったか/途中離脱したかが見える(コンテンツ評価に強い)
3 さくら整体院・ブログで「次に取りたいイベント」の例
3-1 さくら整体院サイトで優先したい拡張計測

整体院サイトのゴールは多くの場合「新規予約」です。
だから優先すべきは “予約に近い行動” からです。
優先候補の例:
- outbound_click:外部予約/LINE/Instagram
→ 「予約の一歩手前」を作る最重要ログになりやすい - scroll:TOP/施術メニュー/料金ページ
→ どこで離脱しているか、説明の順番は妥当か - file_download:料金表PDFなど(ある場合)
→ 検討度が高い行動として強いシグナル
「便利だからON」ではなく、ゴールに近い順に取るのが基本です。
3-2 Webマーケブログで優先したい拡張計測

ブログは、目的が次の3つに集約されやすいです。
- 記事が読まれているか(品質)
- 次の導線に流れているか(回遊・送客)
- 読者ニーズが何か(企画)
それぞれに対応する拡張計測の例:
- scroll:長文記事の読了率(品質)
- outbound_click:メルマガ、ポートフォリオ等への遷移(送客)
- site_search:サイト内検索(ニーズ探索)
「PVはあるのに成果が見えない」を抜けるために、拡張計測は非常に相性が良いです。
3-3 「全部ON」ではなく、目的から逆算して選ぶ
拡張計測は便利ですが、「全部ON」はおすすめしません。
- ノイズが増え、見るべき指標がぼやける
- 目的のないイベントが増え、改善につながりにくい
まずは次の2軸で選ぶのが現実的です。
- CVに近い行動(予約クリック、資料DL、問い合わせ導線など)
- コンテンツの質を測る行動(スクロール、動画視聴、検索など)
次シリーズでは、イベントの説明だけでなく「どんなサイトで優先度が高いか」までセットで扱います。
4 次シリーズの予告(拡張計測シリーズの目次チラ見せ)
4-1 拡張計測シリーズ全体像(予定の目次)

次シリーズは、以下の“叩き案”で進めます。
- 第1回:拡張計測機能とは?自動収集との違いを整理する
- 第2回:スクロールイベントで「読了率」を見る
- 第3回:外部クリック(outbound_click)で送客を見える化する
- 第4回:ファイルダウンロード(file_download)で資料閲覧を追う
- 第5回:サイト内検索(site_search)でニーズを掘り起こす
- 第6回:動画視聴イベントでコンテンツの“刺さり”を測る
- 第7回:拡張計測×CV設定の組み立て方
- 第8回:拡張計測ログ×Pythonで「読了率」「離脱ポイント」を再現する
4-2 各回で身につくこと
このシリーズは「GA4の操作説明」で終わらせません。毎回セットにします。
- どんなサイトで役に立つか(整体院/ブログ/LPなど)
- GA4のどの画面を見るか(どのレポートで確認するか)
- どんな改善アイデアにつながるか(導線・UI・コンテンツ改善)
“計測できる”ではなく、“改善に使える”に寄せていきます。
4-3 自動収集×拡張計測×カスタムの関係マップ
最後に関係を整理します。
- 自動収集:GA4が勝手に取ってくれる“基本ログ”
- 拡張計測:スイッチONで追加できる“便利ログ”
- カスタムイベント:自分で設計する“オリジナルログ”
将来的には、
- 自動収集+拡張計測で足りないところをカスタムで補う
- Looker StudioやPythonで深掘りする
という流れになります。今回の回は、その入り口です。
30秒チェック|次シリーズで伸びるポイントはどれ?
ここから先に進むべきか迷う人は、次だけ確認してください(YESが1つでもあれば、拡張計測は“次の一手”になり得ます)。
- PVはあるのに「ちゃんと読まれている実感」がない → YES / NO
- 予約やLINEなど「外部導線が押されているか」分からない → YES / NO
- 料金表や資料が「見られているか」分からない → YES / NO
- 動画を置いたが「再生されているか」分からない → YES / NO
YESがあるなら、次シリーズで扱う拡張計測が、改善の判断材料になります。
まとめ|自動収集イベントから一歩先の計測へ
自動収集イベントシリーズの最後として、今回は「自動収集でできること/足りないこと」を整理しながら、次のステップである「拡張計測機能」への橋渡しをしました。
ここまでで、
- first_visit / session_start / page_view / user_engagement の役割
- ユーザー数・セッション数・PV・エンゲージメント指標との対応
- “誰が・いつ・どのページを・どれくらい見たか”の見方
は一通り押さえました。
一方で、
- どこまで読まれたのか(スクロール)
- どのリンクがクリックされたのか(外部クリック)
- どの資料が見られたのか(ファイルダウンロード)
- 動画がどこまで見られたのか(動画視聴)
といった「ページの中の行動」は、自動収集イベントだけでは見えません。
次の拡張計測シリーズでは、この“ページの中の行動”を可視化するための
- 拡張計測(scroll / outbound_click / file_download / site_search / 動画…)の考え方
- さくら整体院・Webマーケブログでの優先順位
- CV設定やPython分析へのつなげ方(実務で効く形)
を、順番に解説していきます。
自動収集イベントで土台を作った今だからこそ、拡張計測のひとつひとつが「改善の武器」として立体的に見えてくるはずです。次回から、実際に“ページの中”を取りに行きましょう。