GA4・アクセス解析 / 2026.01.11

自動収集イベントを押さえたら次は拡張計測へ|スクロール・クリック・動画視聴をどう計測するか


GA4の基本である『自動収集イベント』から、より詳細なユーザー行動を可視化する『拡張計測機能』へのステップアップをテーマにしたアイキャッチ画像

第0〜第7回(自動収集イベントシリーズ)を一通り読んだ方へ。ここまでで、GA4の基本となる「ユーザー数/セッション数/PV/エンゲージメント」を、イベント(ログ)としてつなげて理解できるようになってきたはずです。

この回(第8回)はシリーズの締めくくりとして、

  • 自動収集イベントで「できること」
  • でも実務では「足りなくなるところ」
  • 次は“ページの中の行動”を取れるようにしよう(=拡張計測)

という流れで、次シリーズ(拡張計測シリーズ)へ橋渡しします。


1 自動収集イベントでできること・足りないこと

1-1 自動収集イベントで「ここまでは分かる」

自動収集イベントの4兄弟(first_visit / session_start / page_view / user_engagement)を押さえると、GA4の見え方が一気に整理されます。

  • first_visit:初回訪問(はじめましてのユーザー)
  • session_start:訪問(セッションの開始)
  • page_view:ページ閲覧(PVの正体)
  • user_engagement:滞在・エンゲージメントのログ(エンゲージメント時間の土台)

この4つが頭に入ると、例えば次のような“基本分析”は十分できます。

  • 新規ユーザー数・ユーザー数・セッション数・PVの把握
  • 平均エンゲージメント時間/エンゲージメント率の読み方
  • ランディングページ(入口)別の成果比較(例:LP別CVRの比較)

ここまでで言えるのは、「誰が・いつ・何回・どのページを・どれくらい見たか」までは、かなり高い解像度で押さえられている、ということです。

1-2 でも“行動の細かさ”が足りない場面が出てくる

ここから先は「改善」の話になります。改善はほぼ必ず、ページの中の“行動”に踏み込みます。

たとえば、こんな場面です。

  • LPで「どこまで読まれたか(スクロール)」が分からない
  • 予約システムやInstagramなど「外部リンクがクリックされたか」が分からない
  • 料金表や資料の「PDFダウンロードがされたか」が分からない
  • 動画が「再生されたか/どこまで見られたか」が分からない

PVや滞在時間は重要ですが、それだけだと 「ページ内のどこが効いたか」や 「どこで止まったか」が見えません。
つまり、UIや導線の“改善ポイント”に直結しにくいのが弱点です。

1-3 「イベントの種類を増やす=見える世界を増やす」という考え方

GA4の自動収集イベントと拡張計測機能で取得できるイベントの比較図。左の自動収集(page_viewまで)に対し、右の拡張計測(scroll, clickなど)ではページ内行動まで追えるようになり、『ページ単位 → ページ内行動へ』と分析範囲が広がることがわかる

GA4は極端に言えば、こういう道具です。

「どんなイベントを、どんな条件で送るか」で、分析できる世界が広がる

  • 自動収集イベントだけ:ページ単位の粗い情報が中心
  • 拡張計測/カスタムイベント:スクロール、クリック、検索、動画視聴など“ページの中の行動”が見える

この回は、自動収集イベントで作った土台の上に、次の階段(拡張計測)を置く回です。


2 拡張計測機能で追加されるイベントのイメージ

2-1 拡張計測機能とは?(GA4管理画面のトグル)

拡張計測は、ひと言でまとめるとこうです。

  • GA4側でONにするだけで取れる“標準イベント群”
  • 自動収集とは違い、ON/OFFを自分で選べる
  • コードを書かずに追加できる範囲が広い(最初の一歩に最適)

管理画面の「データストリーム > Webストリームの詳細」に、拡張計測のトグルが並びます。
「計測設計」という言葉を難しく感じる人ほど、まずは拡張計測で“見える世界を増やす”のが近道です。

GA4管理画面の『データストリーム』詳細設定。拡張計測機能の項目で、スクロールや離脱クリックなどのトグルが一覧で表示されており、各計測のオン・オフを切り替える場所を示したスクリーンショット

2-2 スクロール(scroll)で「どこまで読まれたか」を見る

scroll は「ページが一定割合までスクロールされた」ときに発火するイベントです(例:90%到達など)。

これで見えるようになることは、かなり実務的です。

  • PVはあるのに、最後まで読まれていない記事
  • ファーストビューで止まっているLP(途中で止まっている地点のヒント)

「読まれているか?」はPVだけでは分かりません。
スクロールが入ると、“読了”を数字で語れるようになります。

2-3 クリック(outbound_click)で「外部への送客」を見る

outbound_click は、別ドメインへ移動するリンクのクリックで発火するイベントです。

さくら整体院で典型的なのは、

  • 外部予約システムへの遷移
  • Instagram/LINE公式への遷移

です。これが取れると、

  • 予約完了が外部で起きる場合の「予約の一歩手前
  • お問い合わせ以外の“成果”の可視化

ができます。改善に直結しやすいログです。

2-4 ファイルダウンロード(file_download)で「資料閲覧」を見る

file_download は、PDFなどのファイルがダウンロードされたときに発火します。

例:

  • 料金表PDF
  • 初回説明資料

これが取れると、

  • “真剣に検討しているユーザー”がどの資料を見たか
  • 資料導線(置き方/文言)の改善

につなげやすくなります。

2-5 サイト内検索・動画視聴など、他の代表的な拡張イベント

ここでは「種類」と「役立つ場面」だけ押さえて、詳細は次シリーズへ回します。

  • site_search(サイト内検索)
    何を探しているか=ニーズ・不安の可視化に使える
  • video_start / video_progress / video_complete(動画)
    刺さったか/途中離脱したかが見える(コンテンツ評価に強い)

3 さくら整体院・ブログで「次に取りたいイベント」の例

3-1 さくら整体院サイトで優先したい拡張計測

さくら整体院を例とした計測イベントの優先度ピラミッド。頂点(最優先)に予約ボタン等の『outbound_click』、中段に料金ページ等の熟読を測る『scroll』、下段にセルフケア資料などの『file_download』を配置した、ゴールに近い順の計測優先度マップ

整体院サイトのゴールは多くの場合「新規予約」です。
だから優先すべきは “予約に近い行動” からです。

優先候補の例:

  • outbound_click:外部予約/LINE/Instagram
    → 「予約の一歩手前」を作る最重要ログになりやすい
  • scroll:TOP/施術メニュー/料金ページ
    → どこで離脱しているか、説明の順番は妥当か
  • file_download:料金表PDFなど(ある場合)
    → 検討度が高い行動として強いシグナル

「便利だからON」ではなく、ゴールに近い順に取るのが基本です。

3-2 Webマーケブログで優先したい拡張計測

ブログ運営に最適なGA4イベント3点セットの解説カード。1.読了率を測る『Scroll』、2.メルマガやポートフォリオへの送客を測る『Outbound click』、3.読者のニーズを把握する『Site search』の3つを、ブログ改善の武器として紹介する図

ブログは、目的が次の3つに集約されやすいです。

  1. 記事が読まれているか(品質)
  2. 次の導線に流れているか(回遊・送客)
  3. 読者ニーズが何か(企画)

それぞれに対応する拡張計測の例:

  • scroll:長文記事の読了率(品質)
  • outbound_click:メルマガ、ポートフォリオ等への遷移(送客)
  • site_search:サイト内検索(ニーズ探索)

「PVはあるのに成果が見えない」を抜けるために、拡張計測は非常に相性が良いです。

3-3 「全部ON」ではなく、目的から逆算して選ぶ

拡張計測は便利ですが、「全部ON」はおすすめしません。

  • ノイズが増え、見るべき指標がぼやける
  • 目的のないイベントが増え、改善につながりにくい

まずは次の2軸で選ぶのが現実的です。

  • CVに近い行動(予約クリック、資料DL、問い合わせ導線など)
  • コンテンツの質を測る行動(スクロール、動画視聴、検索など)

次シリーズでは、イベントの説明だけでなく「どんなサイトで優先度が高いか」までセットで扱います。


4 次シリーズの予告(拡張計測シリーズの目次チラ見せ)

4-1 拡張計測シリーズ全体像(予定の目次)

GA4拡張計測機能シリーズ全8回のロードマップ。1.自動収集との違い、2.スクロール(読了率)、3.外部クリック(送客)、4.ダウンロード(資料閲覧)、5.サイト内検索(ニーズ)、6.動画視聴、7.CV設定、8.Pythonによる再現、の順で進む学習ステップ図

次シリーズは、以下の“叩き案”で進めます。

  • 第1回:拡張計測機能とは?自動収集との違いを整理する
  • 第2回:スクロールイベントで「読了率」を見る
  • 第3回:外部クリック(outbound_click)で送客を見える化する
  • 第4回:ファイルダウンロード(file_download)で資料閲覧を追う
  • 第5回:サイト内検索(site_search)でニーズを掘り起こす
  • 第6回:動画視聴イベントでコンテンツの“刺さり”を測る
  • 第7回:拡張計測×CV設定の組み立て方
  • 第8回:拡張計測ログ×Pythonで「読了率」「離脱ポイント」を再現する

4-2 各回で身につくこと

このシリーズは「GA4の操作説明」で終わらせません。毎回セットにします。

  • どんなサイトで役に立つか(整体院/ブログ/LPなど)
  • GA4のどの画面を見るか(どのレポートで確認するか)
  • どんな改善アイデアにつながるか(導線・UI・コンテンツ改善)

“計測できる”ではなく、“改善に使える”に寄せていきます。

4-3 自動収集×拡張計測×カスタムの関係マップ

最後に関係を整理します。

  • 自動収集:GA4が勝手に取ってくれる“基本ログ”
  • 拡張計測:スイッチONで追加できる“便利ログ”
  • カスタムイベント:自分で設計する“オリジナルログ”

将来的には、

  • 自動収集+拡張計測で足りないところをカスタムで補う
  • Looker StudioやPythonで深掘りする

という流れになります。今回の回は、その入り口です。


30秒チェック|次シリーズで伸びるポイントはどれ?

ここから先に進むべきか迷う人は、次だけ確認してください(YESが1つでもあれば、拡張計測は“次の一手”になり得ます)。

  • PVはあるのに「ちゃんと読まれている実感」がない → YES / NO
  • 予約やLINEなど「外部導線が押されているか」分からない → YES / NO
  • 料金表や資料が「見られているか」分からない → YES / NO
  • 動画を置いたが「再生されているか」分からない → YES / NO

YESがあるなら、次シリーズで扱う拡張計測が、改善の判断材料になります。


まとめ|自動収集イベントから一歩先の計測へ

自動収集イベントシリーズの最後として、今回は「自動収集でできること/足りないこと」を整理しながら、次のステップである「拡張計測機能」への橋渡しをしました。

ここまでで、

  • first_visit / session_start / page_view / user_engagement の役割
  • ユーザー数・セッション数・PV・エンゲージメント指標との対応
  • “誰が・いつ・どのページを・どれくらい見たか”の見方

は一通り押さえました。

一方で、

  • どこまで読まれたのか(スクロール)
  • どのリンクがクリックされたのか(外部クリック)
  • どの資料が見られたのか(ファイルダウンロード)
  • 動画がどこまで見られたのか(動画視聴)

といった「ページの中の行動」は、自動収集イベントだけでは見えません。

次の拡張計測シリーズでは、この“ページの中の行動”を可視化するための

  • 拡張計測(scroll / outbound_click / file_download / site_search / 動画…)の考え方
  • さくら整体院・Webマーケブログでの優先順位
  • CV設定やPython分析へのつなげ方(実務で効く形)

を、順番に解説していきます。

自動収集イベントで土台を作った今だからこそ、拡張計測のひとつひとつが「改善の武器」として立体的に見えてくるはずです。次回から、実際に“ページの中”を取りに行きましょう。


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